バラク・オバマ米大統領を取り囲むようにガードするシークレットサービスの要員たち。9月のホワイトハウス侵入事件では、信じられないような失態を重ねていた=2014年10月20日、米イリノイ州シカゴ(ロイター)【拡大】
扉の内側でゴンザレス容疑者に突き飛ばされた女性隊員はとっさに金属製の警棒をベルトから外そうとして懐中電灯を手に握っていた。結局、ゴンザレス容疑者を取り押さえたのは勤務時間を終えて、たまたまその場を通りかかった隊員。大統領一家は確かに不在だったが、約10分前にヘリで飛び立ったばかりだった。
事前調査も不備
報告書は事前調査の不備も指摘している。警察は6月に首都ワシントンに隣接するバージニア州でゴンザレス容疑者の車を止め、車内にライフル2丁、拳銃4丁、弾薬などとともにホワイトハウスの位置に印を付けた地図があるのを見つけている。全ての不審者をマークすることは不可能だが、事件の数日前にはオバマ大統領が視察先で、犯罪歴があり銃を所持していた民間警備員と同じエレベーターに乗り合わせるという警護上のミスがあったばかりだった。
全米を震撼させた事件の、さらに驚愕(きょうがく)させられる調査報告書の中身。最も驚いたのは、そうとは知らず連邦予算の強制削減などで関連予算を削ってしまった大統領本人であろうことは疑う余地がない。(SANKEI EXPRESS)