映画「幸福の黄色いハンカチ」では、服役を終えた健さんが倍賞(ばいしょう)千恵子の妻が待つ家に帰ることを躊躇(ちゅうちょ)し、道中で出会った武田鉄矢と桃井かおりに背中を押されて家に向かう。実ははがきを出していた。「もしもまだ一人で待っていてくれるなら、黄色いハンカチをぶらさげておいてくれないか」。果たしてそこには、無数の黄色いハンカチがたなびいていた。
健さんの訃報を受けて北海道夕張市の「幸福の黄色いハンカチ 想い出ひろば」は冬季の閉館を中断して営業を再開した。ラストシーンのままに、黄色いハンカチも掲げ直した。
東映は各地の直営映画館や撮影所に献花台を設置した。大阪・新世界では任侠映画時代の健さんのポスターに、道行く人が足を止めた。ギラギラとした眼光が鋭い。
映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地となった北海道南富良野町のJR根室線幾寅駅にも健さんのポスターが飾られた。雪の線路際に立つ。これほどこのシーンに似合う俳優はいない。