とはいっても観光名所でもなく、排水をする施設である。それなのに調圧水槽や、この日の見学会で特別に公開されていた水を排出するポンプ室に、見物人が目を輝かせている。歩き回り、写真を撮りまくり、係員の説明にも真剣に聞き入る。
もう、対象は施設でも、機器でもないのだ。技術立国・日本のものづくりで生み出されたそれは、すでに心を持った生き物と化している。だから、「頑張っているな」「一生懸命働いてくれている」という気持ちで愛でる。工業地帯の工場見学が人気なのも、働いているお父さんのような一生懸命さと美しさを感じ取るからだろう。
「はやぶさ2」の帰還予定の20年は東京五輪の年だ。日本人は代表選手を応援するのと同じように、再び、帰還する「はやぶさ2」に大声援を送るに違いない。(小川記代子/SANKEI EXPRESS)