Jリーグ史上最大の逆転劇だった。今季J1に復帰したばかりのガンバ大阪が、9年ぶり2度目の優勝を果たした。
チームを率いたのは、昨年のJ2時代に就任した長谷川健太監督(49)。1年でJ2優勝、J1復帰を果たして今季に臨んだが、エースFW宇佐美貴史が故障離脱するなど誤算続きだった。ボランチが本職の主将、遠藤保仁(やすひと)を最前線に置く苦肉の策も実らず、ブラジルW杯を控えて日本代表組の今野泰幸は「心のけが」で絶不調。W杯による中断期間を迎えた際には再びJ2降格圏内の16位に低迷し、首位をひた走る浦和には絶望的ともいえる勝ち点14差をつけられていた。
自身は小学校時代から一貫して攻撃的な選手だったが、W杯期間中に徹底したのは守備の確認だった。細かい位置取りを繰り返し浸透させたチームに、W杯の惨敗で失意の遠藤、今野が合流した。
ともにW杯直前まで、ザッケローニ監督の下でレギュラーとして戦いながら、本番では出場に恵まれなかった。悔しさをどこかにぶつけたい2人を長谷川監督は2ボランチに並べてチームを安定させた。