≪歓喜と失意 別れの最終戦≫
ガンバにとっての大逆転優勝は、そのまま浦和の悲劇でもあった。最大勝ち点差14をひっくり返されたのだから、過激さでなるサポーターもたまらない。
さいたまスタジアムは5万3000人余の大観衆で埋まり、スタンドを真っ赤に染めたサポーターは再逆転優勝を信じて歌い、叫び、鼓舞し続けた。願いは通じず敗戦で今季を終えた選手らには心ない罵声も飛んだ。
ピッチに倒れ込み、膝に手をつき、うなだれたままの選手たち。主将の阿部勇樹が一人一人を起こして歩く。ドーハの悲劇を思いださせる光景だった。
スタジアムの空気を変えたのは、退団する坪井慶介のあいさつだった。ジーコの日本代表でセンターバックを務めた俊足DF。ドイツW杯では初戦のオーストラリア戦で故障退場し、逆転負け。監督を「坪井が万全なら」と悔しがらせた。
チームに「ともに喜び、ともに苦しみ、ともに泣いてくれてありがとう」と感謝し、「強い浦和に魅力がある。それを求めてやってほしい」とエールを送った。