美しく文字を書けるようになりたい。毎年、年賀状の季節になるたびに思ってきた。
仕事柄、取材ノートに毎日、文字を書く。子供のころに書道を習っていたことはあるが、自分の字は決してきれいとはいえないと自覚している。10年以上の記者生活で身についたのは、ともかく早く書くことだ。記者のなかには、本人以外に読み取れないような文字を書く人もいる。そういう人に比べたら、「私はまだマシ」。そう思っていた。
以前、美文字について取材をしたときに、講師の方に文字を見ていただいたことがある。「もとの字が汚いわけではない。まずはもっとゆっくり書くこと」というアドバイスをいただいた。取材は仕方ないけれど、普段は丁寧に字を書こう。そう決意したものの、早く書くクセはなかなか直らない。
今年になって、産経新聞の生活面で掲載する美文字に関するコラムの担当になった。執筆してくださっているのは、書写教室を展開している公文エルアイエルの方だ。数年前からの美文字ブームで、書写教室に通う女性も増えているという。OLもいれば、子供にきれいな字を教えるには、まず自分からと考える母親もいるそうだ。