カストロ議長の兄、フィデル・カストロ前議長(88)が率いたキューバは冷戦時代、ソ連から全面支援を受けて国家を運営した。だが、ソ連崩壊後は後ろ盾を失い、キューバは今、「事実上、“自身の足”で立つしかない状況」(外交筋)となっている。
キューバ政府は2010年から、本格的な経済改革を開始。飲食業や理髪業、自動車洗車業などの職種を民間ビジネスに開放し、個人不動産や自動車の売買も許可した。旅行制限も緩和している。今年6月には新外資法を施行、100%外資企業の進出と営業を認めた。ハバナ西方45キロのマリエル港地域には経済特区を建設中で、その沖のメキシコ湾経済水域には海底油田が眠っている。
外資に魅力
キューバ国内では今、欧州諸国やカナダに加え、イスラエルの企業までもがビジネスに乗り出している。キューバは労働賃金が安い一方で、数学を中心に教育水準が高く、IT企業などにとって進出先として有望だからだ。今後、海峡を挟んで144キロしか離れていない米国の制裁が解除されれば、米企業の投資が増大し、経済が劇的に転換するとの期待は高い。ただ抗議デモの制限などは続き、経済と政治のバランスが難しくなりそうだ。