89年11月にベルリンの壁が崩れ東西冷戦が終焉(しゅうえん)し、91年12月に崩壊した。キューバはソ連と軍事的につながっていたから米国の脅威だった。裏返して言うならば、外国の核の傘に入っていないキューバは、社会主義を掲げていても、米国にとって脅威ではない。しかし、米国の歴代大統領がキューバとの正常化に踏み込めなかったのは、フロリダに集中して居住するキューバからの移民が、社会主義政権に対する強硬策を主張する強力なロビー活動を展開していたからだ。オバマ大統領は、キューバ移民を敵に回しても、キューバとの関係正常化を選択した。その動機は、歴史に名前を残すことだと思う。
今回の米・キューバ関係正常化には、バチカン(カトリック教会)が大きな影響力を行使したようだ。<米政府高官によると今回、両国政府はローマ法王とカナダ政府の仲介で2013年6月から秘密裏に接触を続けてきたという>(12月18日、産経ニュース)
米国とバチカンのインテリジェンス協力は、キューバだけでなく、中国、中東でも積極的に行われている。世界宗教が外交に与える影響が可視化された事例としても本件は興味深い。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)