NPO法人「AlonAlon」理事長の那部智史さん(左)と一般社団法人「Get_in_touch」理事長の東ちづる。胡蝶蘭などの販売を通じて「まぜこぜの社会」を実現する「Get_in_touchフラワープロジェクト」もスタート(tobojiさん撮影)【拡大】
障がい者の親になって初めて那部さんは、「今の社会は五体満足で健康な人だけがハッピーな世界。そうでない人、特に知的障がいや精神障がいの人が取り残されている」と気づく。そこで、経済的な競争社会にいた経験を生かし、新たな福祉のビジネスモデルをつくりたいと考えた。その一つが「AlonAlonフラワープロジェクト」だ。
知的ハンディキャップをもつ約50人が、胡蝶蘭(こちょうらん)などのお花の栽培を行っており、順調に売り上げを伸ばしている。「なぜ胡蝶蘭なのか?」との問いに「値崩れしないから!」と明快な答え。彼の発想にファンタジーはない。そういう役回りの人も必要だということを分かったうえでの言動なのだ。
胡蝶蘭などのランは着生植物だ。寄生ではなく着生。土に根を張るのではなく、木や岩場などに根を絡ませる。宿主の養分は吸い取らず、寄り添いながら花を咲かせ、木や岩をも美しく飾る。周囲と共に生きるランを選択したのも、那部さんらしい。