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【日本遊行-美の逍遥】其の十五(染司よしおか・京都市) 正倉院の色彩 親子で再現挑む (1/5ページ)

2014.12.24 14:05

日本古来の染色法による古代色の復元に半生をかけてきた吉岡幸雄(さちお)氏。源氏物語の色の再現、東大寺などの伝統行事、国宝修復にも貢献している=2013年10月15日(井浦新さん撮影)

日本古来の染色法による古代色の復元に半生をかけてきた吉岡幸雄(さちお)氏。源氏物語の色の再現、東大寺などの伝統行事、国宝修復にも貢献している=2013年10月15日(井浦新さん撮影)【拡大】

  • 版木の彫刻は仏師・稲田光凰氏に依頼。細やかな文様を刻むのに手を煩わせたそうだ。隙間のスペースに染料が染み込む=2014年10月22日(井浦新さん撮影)
  • 細やかな文様を彫り込んだ版木の裏面に開いた穴は、片面1600個、両面で3200個。完成形を見定めながら、栓を開けるところ、閉じるところを決めていく=2014年10月22日(井浦新さん撮影)
  • 赤一色にしても茜で10時間染め上げてやっと赤くなる。気の遠くなる作業だ=2014年10月22日(井浦新さん撮影)
  • 版木に栓をする。福田伝次さんを含む、先代からのベテラン職人4人のチームで復元に挑んでいる。美しいものをつくり出す、手や道具それ自体も美しい=2013年10月15日(井浦新さん撮影)
  • 俳優・クリエイター、井浦新(いうら・あらた)さん(本人提供)

 正倉院宝物の染織品の色彩的な美しさ、技術の高さは筆舌に尽くしがたい。なかでも「花樹双鳥文夾纈(かじゅそうちょうもんきょうけち)」という一枚の裂(きれ)は、藍(あい)、刈安(かりやす)、茜(あかね)の染料で見事に染め分けられており、いまだにその技術の全貌は解明されていない。京都の染織史家で、「染司(そめのつかさ)よしおか」5代目当主・吉岡幸雄(さちお)氏は、この難題に挑み続けている。

 夾纈の「夾(きょう)」は挟む、「纈(けち)」は水をはじくという意味で、文様を彫った2枚の板で布を挟み、染料を染み込ませることで文様を生み出す。「夾纈」の技法は手が込んでおり、日本では平安時代の中頃、中国では明の時代、その発祥地とされるインドでさえも18世紀以降は途絶えていた。

 この「夾纈」の解明は、吉岡氏の先代にあたる父・常雄氏から続く課題で、当時は渋型紙を用いて染めたという学説が有力だった。しかし先代は、染色史家の山辺知行氏がインドのアーメダバードで文様が彫られた版木を見たと聞き、自説に確信を持ち、実践的な研究に打ち込んだ。先代がこの世を去ったあと、吉岡氏は先代の右腕として修業を積んでいた福田伝次氏とともに、「夾纈」を一からやり直そうと決意する。

遡る過去 現在に投影する信念

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