しかし、すべてが順風満帆だったわけではありません。91年9月、日本列島に甚大な被害を与えた台風19号がやってきます。青森では収穫前のリンゴがほとんど樹から落ち、倒木・枝折れなどの被害に遭いました。そのままでは出荷できない落下果実。田村さんは流通業にいたノウハウと人脈を生かし、いち早く加工品へのルートを確保します。「リンゴ台風」とも呼ばれたこの台風で転業した農家も多かったのですが、県内外からの支援も多く、加工品や収穫時期の調整など新たな展開にもつながりました。
十数種の品種を栽培する中で、田村さんの一番のこだわりは「紅玉」。玉が小さく収穫量も少ないため、農家が敬遠しがちな紅玉ですが、程よい酸味が特長で「口に入れて、おししい、のど元でも、おいしい」と、凝縮された味がお菓子に一番適しているそうです。ジュース、ジャムに加え、2011年から始めた奥様の手作りアップルパイが好評。畑が忙しい夏場は畑に、手のすく冬場はお菓子作りにと、地元女性たちの手も借りながらの味わいが人気を呼んでいます。