首都モスクワ郊外のブヌコボ空港内で首脳会談を行った後、フランソワ・オランド仏大統領(手前右)を見送るウラジーミル・プーチン露大統領(手前左)。ロシアのクリミア半島併合後、G7首脳として初めて訪露したオランド氏は、親密ムードの演出で対露制裁解除に向けた地ならしを図った形だ=2014年12月6日、ロシア(ロイター)【拡大】
ドイツのガブリエル副首相は、ロシアを苦境に追い込むことは「ドイツの国益、そして、欧州の利益にはならない」とまで明言した。この主張は、一部で「制裁主義者」とまで揶揄(やゆ)される米国保守派、欧州連合(EU)内の強硬派を牽制(けんせい)した言葉だとも言える。
1月15日、カザフスタンの首都アスタナで、ウクライナ危機の解決をめぐり、ロシア、ウクライナと仏独の首脳が一堂に会した4カ国会談が開催されると報じられている。仏独がこうして仲介役を担うのは、ウクライナの政治改革促進やロシアの拡張主義を防ぐことを目的にしただけでなく、実は、陰りが顕著になり出した自国産業の救済という内向きの側面が理由にあるのである。
英紙フィナンシャル・タイムズは1月8日付で、「窮地に追い込まれたプーチン大統領は、政治的に危険になる可能性がある」ことを一部の欧州の者たちが恐れている、と指摘している。
制裁がもたらすロシアの孤立化は、是か非か。2015年の国際社会の主要課題の一つになりそうだ。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)