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【勿忘草】打ち込んだ汗 (1/2ページ)

2015.1.15 10:25

第91回箱根駅伝の復路でゴールテープをきる青学大のアンカー、安藤悠哉=2015年1月3日、東京都千代田区大手町(蔵賢斗撮影)

第91回箱根駅伝の復路でゴールテープをきる青学大のアンカー、安藤悠哉=2015年1月3日、東京都千代田区大手町(蔵賢斗撮影)【拡大】

  • 総合優勝を果たし、胴上げされる青学大の原晋(すすむ)監督=2015年1月3日、東京都千代田区大手町(代表撮影)

 「トップ・レフト」などで知られる作家の黒木亮さんは箱根駅伝の選手だった。早稲田大学在学中、2年連続で出場し、1979年に3区を走った3年時には瀬古利彦さんから首位でたすきを受け取っている。

 陸上競技に打ち込んだ生活は自伝的小説「冬の喝采」(講談社文庫)に詳しい。当時の早大競走部監督は強烈な個性で瀬古さんを育てた中村清さんだった。とてつもない練習量をこなし、激しく叱咤(しった)され、苦悩した日々は読んでいるだけでも胸が締め付けられる。

 今年の箱根駅伝は青山学院大学が2位に10分以上の大差をつけて圧勝した。復路8区で区間賞をとった4年、高橋宗司(そうし)選手は走り終わった後、付き添いの部員に「めっちゃ楽しかった、やばい」とあふれんばかりの笑顔を見せた。優勝インタビューではどの選手の弁舌もさわやかだった。ワイドショーのコメンテーターは「これまで長距離は悲壮なイメージがあったけど、変わりましたね」と話した。

 「やばい」はいまどきの若者がよく口にし、「すごくいい」という意味もある。言葉だけ聞くと軽く感じられ、確かに悲壮感はない。

「若い頃に流さなかった汗は、年老いて涙となって流れる」

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