リシャウィ死刑囚は、イスラム国の前身である「イラクの聖戦アルカーイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者の右腕と呼ばれたサミル・リシャウィ容疑者=04年に米軍の掃討作戦で死亡=の妹としても知られる人物だ。別の兄弟少なくとも2人も、イラクで米軍との戦闘で死亡している。
リシャウィ死刑囚はイスラム国にとって、組織に多大な貢献をした一族の一人であり、象徴的な意味を持つ女性ジハーディスト(聖戦主義者)だともいえる。この一族は、イスラム国指導者、バグダーディ容疑者の元妻と同じ部族出身との情報もある。
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最初の疑問とも関連するもう一つの謎は、なぜイスラム国が金銭要求を取り下げたのかという点だ。
イスラム国は20日に公開した声明ビデオで、計2億ドル(約235億円)もの身代金を要求していたが、今回のメッセージでは後藤さんに、「彼ら(イスラム国)はもう金を求めていない。だからテロリストの資金源になる心配はないんだ」と訴えさせ、リシャウィ死刑囚との身柄の交換を持ちかけた。