最初に2億ドルという法外な金額を提示し、その後、要求を引き下げることで受け入れやすくする狙いだった可能性は高い。アラブ世界の商取引などではよくみられる交渉術だ。
スパイの疑い強め
さらに、イスラム国は今回、どうしてメッセージの発信役に後藤さんを選んだのだろうか。
イスラム国が殺害したと示唆する湯川さんは昨年8月に拘束されて以降、イスラム国支持者らのウェブサイトなどで、銃器を所持していたことなどを理由に「日本や欧米のスパイだ」との疑いをかけられてきた。湯川さんがフェイスブックで、自身の肩書を民間軍事会社の最高経営責任者(CEO)と公開していたことも、嫌疑に拍車をかけたものとみられる。
これに対し後藤さんは、主に紛争地を取材するジャーナリストとして高い評価を受けてきた。後藤さんの仲間らが、後藤さんにイスラム国と敵対する意図はなかったなどとして助命を訴えた声明文は、英語やアラビア語で多くの過激派系サイトにも転載されている。