米軍主導の空爆など有志連合の軍事支援を受けたクルド人部隊は26日、4カ月にわたる激しい戦闘の末、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が占拠していたトルコ国境に近いシリア北部の要衝、アイン・アラブ(クルド名コバニ)を掌握した。米中央軍によると、クルド人部隊はアイン・アラブの約90%を掌握し、英国のシリア人権監視団もクルド人部隊がアイン・アラブを奪還したと発表した。中央軍は「イスラム国との戦いの終結はまだ遠いが、彼らの戦略目標の一つが否定された」としている。米軍などによる地上軍投入の見通しがないなか、国家を持たないクルド人たちが「反イスラム国」の最前線に立つ姿が浮き彫りになった。
「私たちの血で解放した」
「コバニは私たちの血で解放した。女性も銃を取り戦っている。多くの人は帰還を求めているが、戦いは終わっていない」。国境をまたいで北側に位置するトルコ南部スルチで出会ったシリアのクルド人組織「民主統一党」(PYD)党員、ファリド・アティ氏(43)はこう述べた。拠点都市奪還の知らせに、スルチで避難生活を送るクルド人らは喜びにわいた。