コバニで裁判所判事を務めていたファリド氏は「人々を苦しめる宗教を中心とした国づくりではなく、多民族、多宗教が共存できる形を目指している」と強調。日本人ジャーナリスト、後藤健二さん(47)を拉致したイスラム国を非難し、戦後復興に日本の力を貸してほしいと訴えた。
コバニは周囲3キロ四方ほどの小さな街だ。イスラム国は昨年9月、それまで包囲していたコバニに進撃し、20万人にも及ぶクルド人が脱出したといわれる。多くは国境を越え、スルチなどで食料など互いに融通し合いながら暮らしている。
「テロ組織」認定解除も
ただ、トルコ政府は、自国内のクルド人組織「クルド労働者党」(PKK)を分離独立を目指す「テロ組織」とし、対立してきた経緯がある。
先のファリド氏もトルコ政府の方針を念頭に、「クルド人国家の建設を目標とはしない」と強調したが、そのトルコは昨年10月末、武器、弾薬の陸路通過を許可。イラク北部のクルド人政府が、トルコを経由する形で重火器と戦闘要員150人をコバニに送った。コバニでの戦闘にはシリア反体制派の自由シリア軍の兵も加わっているという。