ピケティ氏によると、日本では上位10%の高所得者層が全所得の約40%を占有し、欧州よりも格差が拡大しているという。このため、格差の解消には、「若い世代への課税を軽くし、高所得者層への課税を重くすべきだ」と述べ、所得税の累進課税のほか、不動産や株式といった資産への課税の強化を主張した。
消費税増税については「日本の成長にはあまりいい結果を生んでいない」と指摘。法人税の実効税率の引き下げについても、企業誘致のため各国が減税を競い、国際展開する大企業だけが優遇されていると批判。「日米欧で共通の法人税をつくり、多国籍企業には最低税率を設けるべきだ」と提案した。
また、大企業や富裕層が潤えば、富があふれて滴り落ちて経済全体に行き渡るという「トリクルダウン」理論に対して、「我慢すれば万人に恩恵が広がるという保証はない」と否定し、アベノミクスの考え方と一線を画した。