自民、民主両党の衆院小選挙区得票数と実質経済成長率=2000年6月~2014年12月。※歴代政権の成長率は2012年12月までの場合、選挙月となった四半期までの1年9カ月間の対前同期間比伸び率【拡大】
【国際政治経済学入門】
安倍晋三首相はアベノミクスに対する有権者の評価が分かれている中で、自ら進んでアベノミクスを衆院総選挙の争点に据え、野党に突きつけ、勝負に打って出た。
「脱デフレ」ビジョン欠如
1日、東京内幸町の日本記者クラブで開かれた党首討論では、安倍首相の攻勢に対して民主党を初めとする野党が論戦でどこまで巻き返すか、筆者は興味津々で傍聴した。が、拍子抜けだった。ひと口で言えば、野党側はアベノミクスに代わるまとまった日本経済再生案を示せなかった。
野党第1党民主党の致命的な弱点は、公約など選挙準備不足によるのではない。経済をどう運営するか、という実効性あるビジョンの欠如である。そこで不可欠なのは「脱デフレ」という認識である。安倍首相はアベノミクスによって、企業収益増、賃上げ、消費増の好循環を実現すると強調した。2017年4月までという期限を設けて、経済を安定成長軌道に乗せ、税の自然増収を実現し、それまでは消費税増税なしで財政再建を目指すのを「国家の意思だ」と言い切った。