消費税増税で株高効果に陰り(各項目とも2008年9月=100)=2008年9月~2014年9月【拡大】
【国際政治経済学入門】
内閣府が17日に発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値によると、実質成長率は前期比年率換算で2四半期続けてマイナスに落ち込んだ。V字型の回復を見込んでいた大方のエコノミストや日経新聞などメディア多数の予想が完全に外れた。消費税増税は景気回復基調を腰折れさせたばかりか、デフレを再燃させつつある。
「破壊力」認識が先
安倍晋三首相は18日、2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げ実施を先送りしたうえで、衆院解散・総選挙に踏み切る意向を表明した。アベノミクスが増税のために瀕死(ひんし)の状態に追い込まれたことから、再増税見送りは当然だが、まず必要なのは、消費税増税の恐るべき破壊力の認識だ。
甘利明(あまり・あきら)経済財政・再生相はGDP速報値発表後の記者会見で、「デフレ下で消費増税を行うことの影響について学べた」「デフレマインドが払拭しきれないなかで、消費税を引き上げるのはかなり影響が大きい」と反省の弁を述べたが、そんなことは1997年4月の橋本龍太郎政権当時の消費税増税後のデフレ不況をみればわかるのに、甘利氏は周辺の内閣府エコノミストたちから楽観論ばかり吹き込まれたのだろう。