新年を迎え、昨年のニュースを改めて思い起こした。ゴーストライター騒動から始まって、STAP細胞に号泣議員など、たくさんの“流行語大賞には選出できない流行語”が誕生した。一方で、明るいニュースもあった。ノーベル賞受賞では、発明報酬をめぐる裁判などでも話題を呼んでいた中村修二氏が注目を浴びたが、私はあえて、名古屋大学の天野浩さんに拍手を送りたい。天野さんは実験を繰り返し、無理とされた窒化ガリウムの結晶を作ることに成功した。
何を隠そう、私も大学時代、某大学理学部の研究室で結晶作りに挑戦していた一人である。そもそも、結晶作りというのは多くの人が想像する以上に運、そしてド根性が必要な作業だ。誰も成功したことのないものを作るといえば聞こえはいいが、それだけ難しい。「本当にこんな配合で結晶ができるんだろうか…」。そんな漠然とした不安を常に抱えながら、少しずつ条件を変えて何度も挑戦しなくてはいけない。結局、私は結晶作りに限界を感じ、新聞記者という道を選んでしまった。そんな不安につぶされることなく、実験を続けた天野さんの根性はすごい。