まず私たちがとりかかったのは、日本を見つめ直すという行為だった。期間は半年、私と上出氏とは日本各地のものづくりの現場を丁寧に巡った。磁器はもちろん、和紙や藍染めなどの産地にも赴き、さまざまな技術に触れた。そして、お互いが持つ経験と視点を生かし、ものづくりの何が本質であるかを見極めることに努めた。次に、日本とヨーロッパの文化を考慮し圧倒的に交流の多い「食」をターゲットとした。そして、国や文化を超えてどのシーンでも成立する食器のフォルムやサイズとはなにか、美しいと感じる白とはどんな白なのかという、基本的な検討を積み重ねた。
信念をカタチに
一連の行為のベースには、NAKANIWAの信念である「日本の美意識の押し売りをしても何も始まらない」という考えがある。したがって、普遍性の高いポイントを発見するプロセスをとにかく重視した。結果私たちは、固定概念や小難しい伝統論などを消し去り、手に取る人々の感動であり笑顔こそをゴールに定めることができた。もうひとつ大きな発見になったのは、地域や分野を超えて職人たちが情報交換することにより、それぞれの技術を深く見直すきっかけとなることだった。