「豆を水に漬ける時間も季節や気温により調整が必要です。にがりや抹茶の分量は0.1グラム単位で量ります」。想像以上に手間と時間がかかるようだ。20人分の抹茶豆腐を作るのに、厳選された抹茶を25グラム以上使うという。先代と若主人のみが知る一子相伝の技だ。
料理でお茶を使い分け
抹茶と京懐石を融合させたコース「茶楽遊膳(さらゆぜん)」(1万5000円)は抹茶の風味と旬の食材が存分に楽しめる。茶器への盛り付けなど茶の要素が取り入れられた懐石の美しさは箸をつけるのをためらうほど。「甘鯛の茶香(さこう)焼き」は蓋をあけると甘鯛の下に敷き詰められたほうじ茶の香りが広がる。新鮮なお造りや「車エビの東寺(とうじ)揚げ」などが次々と供される。
信楽焼の鍋で炊かれた「鯛の茶飯(ちゃめし)」は、鯛のあらとカツオと昆布のだしが凝縮された一品。熱々のところに碾茶(てんちゃ)をまぶしていただく。「碾茶とは抹茶を臼で引く前の原葉の状態のものです。熱い料理、冷たい料理などでお茶を使い分けます」と左さん。