舞台「夏目漱石とねこ」。(東京)2月15日公演(石川純さん撮影、提供写真)【拡大】
舞台は簡素な障子戸の和室で音響を極力、排した。その静謐(せいひつ)から伝わってくるのは、漱石が実際に感じていたであろう「寂しさ」だ。多数の評伝も出ている漱石は、負の事実を隠して生き抜いた。「人の心の奥底をたたくと全く知らない音が聞こえてくる。上演が漱石を通して自分を見るきっかけになればと思います」と谷は言う。
昨秋、東京で上演された自作の「トーキョー・スラム・エンジェルス」では資本主義と金の問題を取り上げるなど、谷は難しい題材を一級のエンターテインメントに仕上げる力を持つ。外部の舞台の演出や台本などを手がけつつオリジナルも書き続けていくという。2月15日まで。東京、座・高円寺 問い合わせ(電)080・5549・7909。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS)