新たな安全保障法制の整備に向けた与党協議会であいさつする座長の自民党の高村(おうむら)正彦副総裁(中央右)。左隣は公明党の北側一雄副代表=2015年2月20日、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)【拡大】
それだけに、法制案は積極的平和主義を掲げ「国際社会で、日本としての責任を毅然(きぜん)として果たす」としてきた安倍晋三首相(60)の意向を反映したものといえる。
とはいえ、新法が制定されても、湾岸戦争の多国籍軍やアフガン戦争の有志連合に加わった自衛隊が地上部隊による戦闘や空爆に加わるわけではない。憲法9条は自衛権の行使以外の武力行使を禁じており、昨年7月の閣議決定でも他国の「武力の行使との一体化」を厳に戒めているからだ。
周辺事態法の改正でも「武力行使との一体化」を避けることが求められるが、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」での活動であるため、支援内容は「弾薬の提供」や「発進準備中の戦闘機への給油・整備」など権限を拡大させる方針だ。
これに対して新法の目的は、国際社会の平和と安定のための活動を支えるものだけに、他国軍支援は撃墜されたパイロットの救助や補給・輸送活動などに限定したものになる見込みだ。