新たな安全保障法制の整備に向けた与党協議会であいさつする座長の自民党の高村(おうむら)正彦副総裁(中央右)。左隣は公明党の北側一雄副代表=2015年2月20日、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)【拡大】
現地に合わせ柔軟対応
ただ、新法制定により、自衛隊は現地国のニーズに合った柔軟な対応が可能となりそうだ。
たとえば、イラク復興支援特別措置法に基づく人道復興支援活動では、イラク政府から資機材の提供を求められたが、特措法の任務に盛り込まれていなかったため断らざるを得なかった。これと対照的だったのが、恒久法の一種であるPKO協力法に基づく自衛隊のPKO派遣。陸上自衛隊はハイチPKOでの活動中に現地政府の求めに応じ、実施計画を変更することで医療支援を追加できた。
一方、閣議決定では「わが国と密接な関係国に武力攻撃が発生し、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合には集団的自衛権の行使を可能としている。政府は行使の地理的制限を行わない方針で、他国軍に対する後方支援はもちろん、「武力行使との一体化」を伴う活動も可能となる見通しだ。
安保法制が整えば、日本は事態の深刻度に応じて「国際平和のための新法→改正周辺事態法→集団的自衛権行使」と関与を強めることができるようになる。紛争が終結して停戦合意が成立すれば、諸外国からPKOの治安維持任務へ自衛隊を派遣するよう求められることも想定される。政府がPKO協力法改正で「任務遂行のための武器使用」を目指すのは、このためだ。(杉本康士/SANKEI EXPRESS)