日本記者クラブで会見するポール・ライアン歳入委員長(左から2人目)=2015年2月19日、東京都千代田区内幸町(AP)【拡大】
バラク・オバマ米大統領(53)に通商交渉の権限を一任する法案が、月内にも米議会に提出される見通しだ。大詰めを迎えている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を後押しする可能性があるが、法案審議は難航するとみられる。
法案は、合意した通商協定について、一括で無修正の議会承認を求められるようにする「貿易促進権限」を大統領に与える内容だ。権限がないと議会の反対で合意した内容が覆される恐れがあるため、通商交渉の妥結には不可欠とされる。
「提出準備の最終段階にある」。下院で通商政策を担当するポール・ライアン歳入委員長(45)は19日に記者会見し、法案提出に向けた与野党の調整が大詰めを迎えていると表明。上院側ではオリン・ハッチ財政委員長(80)が「法案可決は最優先課題だ」と早期の審議入りに意欲を示している。
通商族議員の間には、来年の大統領選に向けた動きが本格化する今年夏までに最終合意できなければ、TPPは漂流しかねないとの危機感がある。今年春までの大筋合意を前提に、最終合意までに関連法を成立させる必要があるが、過去の例では成立まで5~10カ月かかっており、日程は相当厳しい。