被災地から遠く離れた場所での「語り」は、多くの人の心に刻まれた。福岡市南区の建築設計事務所社長、大江義夫さん(65)は「福岡でも以前、西方沖地震があり、何が起こるか分からない。明日はないかもしれないと思い、一日一日をもっと真剣に生きなければと教えてもらった」と感激していた。
「生きた証し」残す
榊さんはこの日、26歳の誕生日を迎えた。最近、家族の「生きた証し」についてよく考えるという。船大工の祖父はまちに彫刻の看板を、裁縫の先生だった祖母は寺に客人用のいすを装飾するレースを、両親は自分の名前と存在を残した。
榊さんにとって、それは「語り続ける」こと。人に聞いてもらうことで、自分の生きた証しが残せると考えるからだ。「死ぬまでにどれだけ自分の生きた証しを残していけるか、考えながら生きていきたい。伝えることが私の使命だと思う」(安藤歩美、写真も/SANKEI EXPRESS)