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自然と高倉を意識したものになった 映画「妻への家路」 チャン・イーモウ監督インタビュー (3/5ページ)

2015.3.6 12:45

「焦点を当てたのは夫婦愛だが、見れば物語全体がわかると思う」と語るチャン・イーモウ監督=2015年2月12日、東京都港区(野村成次撮影)

「焦点を当てたのは夫婦愛だが、見れば物語全体がわかると思う」と語るチャン・イーモウ監督=2015年2月12日、東京都港区(野村成次撮影)【拡大】

  • 文化勲章の受章会見に臨む高倉健さん=2013年11月3日、皇居(大橋純人撮影)
  • 【かざすンAR(視聴無料)】映画「妻への家路」(チャン・イーモウ監督)。3月6日公開(ギャガ提供)。(C)2014,Le_Vision_Pictures_Co.,Ltd.All_Rights_Reserved

 イエンシーは少しずつ「自分が誰であるのか妻に分からなくてもいい。ずっと妻のそばで静かに寄り添っていよう」との思いを強めていく。イエンシーの生き方は、人間の情感を静かに優しく表現してきた高倉の精神に通じるものがあり、チャン監督がチェンとコンに求めた演出は、自然と高倉の佇(たたず)まいを意識したものとなった。人に静かに寄り添うという意味で、撮影中によく思い出したエピソードがある。

 チャン監督が北京五輪開会式の総監督として準備を進めている最中、何の前触れもなく北京にやってきた高倉と再会した。高倉は「今は大変だろうけど、これをそばに置いておけば、きっと開会式は成功するよ」と語り、日本刀を手渡した。その場で日本刀の磨き方を教えてくれたあと、布で日本刀を覆って箱に収めた。「五輪期間中も、今も、自分の仕事場に飾っています。自分の机のすぐ後ろ、1メートルも離れていない場所です。高倉さんの心がこもった日本刀がいつも私を静かに見守ってくれている。この映画の演出のヒントになったと思います」

「慰めの言葉もらえた」

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