「慰めの言葉もらえた」
このインタビューの前日、チャン監督は日本で暮らす中国人の友人宅で高倉の思い出話にふけった。友人は「単騎、千里を走る。」を一緒に撮った映画仲間だった。何げなく口にした彼の話にチャン監督は目を見張った。友人は高倉のもとへ「妻への家路」のDVDを持って行き、作品を全部見てもらったというのだ。きっと体調がすぐれなかったであろう昨年の夏のことで、友人は中国語を解さない高倉に寄り添い、映像を見ながら日本語に通訳していった。
いったい高倉はどんな感想を漏らしたのだろう。「しばらく感慨にふけったあと、『監督はいい映画を撮ったね。すごく感動した。とても好きな映画だ』と言ってくれたそうです」。高倉にきちんとしたお別れができずに悔やんでいたチャン監督は「とてもうれしい慰めの言葉をもらえた」と語り、温かな気持ちになれたという。3月6日から東京・TOHOシネマズシャンテほかで全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)