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【ヤン・ヨンヒの一人映画祭】誰も幸せになれない理不尽 息苦しい (2/4ページ)

2015.3.6 13:00

映画「妻への家路」(チャン・イーモウ監督)。3月5日公開(ギャガ提供)。(C)2014,Le_Vision_Pictures_Co.,Ltd.All_Rights_Reserved

映画「妻への家路」(チャン・イーモウ監督)。3月5日公開(ギャガ提供)。(C)2014,Le_Vision_Pictures_Co.,Ltd.All_Rights_Reserved【拡大】

  • 【かざすンAR(視聴無料)】映画「妻への家路」(チャン・イーモウ監督)。3月6日公開(ギャガ提供)。(C)2014,Le_Vision_Pictures_Co.,Ltd.All_Rights_Reserved
  • ヤン・ヨンヒ(梁英姫)監督(ワハハ本舗提供)

 舞台は文化大革命時代の中国。舞踊学校で主役候補である娘(チャン・ホエウェン)は高校教師の母(コン・リー)と一緒に党の執務室に呼ばれる。「反右派闘争」によって逮捕された大学教授の父(チェン・ダオミン)が収容所から逃亡したというのだ。公安たちは、夫が訪ねてきたら通報するようにと妻と娘に迫る。父が「思想犯+逃亡犯」になってしまった娘は、革命的舞踊作品の主役から“兵士役”に降格する。

 そして夜、逃亡中の夫が訪ねてくる。心を鬼にし、涙を流しながらも息を殺し居留守を装う妻。娘を案じる母は最後までドアの鍵を開けない。夫は赤い紙切れに「明日8時、駅の陸橋で待つ」とメモを残す。アパートの廊下で父を見かけた娘は、主役の座と引き換えに父と母の約束を公安に密告する。翌朝、駅の陸橋に向かった妻の目の前で夫は逮捕される。やがて文化大革命が終結し、夫は釈放され家に帰って来る。

 20年間夫を待ちわびた妻はしかし、夫の顔だけが記憶から消えるという心因性の記憶喪失を患っていた。妻の記憶を必死に取り戻そうとする夫と、父に寄り添う娘。夫は、自分を他人と思い込む妻に対して「お向かいに住む親切な人」「ピアノの調律師」「まだ帰らぬ夫からの手紙を読む人」など幾つもの「役」を演じながら尽くす。妻の心の病の原因も明らかになっていくが、時間はただ残酷に流れる…。

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