レイプ事件を題材にしたドキュメンタリー映画「インドの娘」が放映される予定だった「国際女性デー」の3月8日、首都ニューデリーでは、犯行グループの1人で映画のインタビューで暴言を吐いた被告の人形が焼かれた=2015年、インド(AP)【拡大】
放送禁止措置に関する表向きの理由は、映画が事件後に起こったような全土規模の抗議デモを惹起しかねないと政府が懸念したというものだ。また、政府は映画の制作者らが警備が最も厳しいとされる刑務所内で犯人に約16時間にわたってインタビューしたことを問題視。監督側は刑務所などと交わした文書などを公開し、手続きに瑕疵(かし)はないと説明しているが、政府は経緯を調査する方針を表明している。閣僚からは、映画が「インドをおとしめようとするための(西側の)陰謀」といった発言さえ出ており、映画への風当たりは強い。
激減した有罪判決率
インド国内では、BBCと共同制作に携わったインドの民放テレビ局への嫉妬からか、他のテレビ局を中心に政府の対応を評価する声が出ている。
しかし、インド英字紙のインディアン・エクスプレスは5日の社説で、政府の対応を「間違った憤怒」と非難。映画よりも現実はとんでもないとして、「レイプ犯の有罪判決率は1973年の44.28%から、2012年の24.21%に減少し、13年の国家犯罪記録局(NCRB)のデータによると女性に対する犯罪は27%増加した」と、具体的な証拠を突きつけ、犯罪の通報が増えたにも関わらず、改善されていないことを「憂慮すべき状況」と嘆く。