ノーベル平和賞を受賞したインドの人権活動家、カイラシュ・サトヤルティさん(60)は、母国の児童労働の根絶に取り組んできたが、その状況はいまなお深刻だ。なかでも、貧困層が多い北部ウッタルプラデシュ州では、児童売春を強いられる少女が少なくない。ガンジス川を抱く仏教とヒンズー教の聖地バラナシにある州最大の売春街では、娘を母親と同じ売春の職に就かせないための努力が続けられていた。
「父親わからない」
売春街は町の中心バラナシ駅からわずか2.5キロのところにあった。長さ1.5キロほどの路地沿いで約350人の女性が働いている。入り口近くに、児童売春・労働から子供を救う活動をしている非政府組織(NGO)「グリア」のビルがある。
売春街で働く女性の子供50~60人が、広間で黙想を始めた。すると、施設に通って4年になる少女、シャシさん(13)が涙を流し出した。