レイプ事件を題材にしたドキュメンタリー映画「インドの娘」が放映される予定だった「国際女性デー」の3月8日、首都ニューデリーでは、犯行グループの1人で映画のインタビューで暴言を吐いた被告の人形が焼かれた=2015年、インド(AP)【拡大】
さらに、映画の中で被告の弁護人が女性への偏見をあらわにするように、「あまりにも多くの著名人が被害者を責める傾向をみせており、こうした現実こそがインドのイメージを傷つけている」と強調する。
疑わしい政府の決意
海外メディアも概ね政府に批判的だ。英紙ガーディアン(電子版)は3月5日付社説で、「映画の真の貢献は、あらゆる偏見をあばくことにある」とし、放送禁止とすることによって、政府は「レイプと女性蔑視の関連性を把握することができない、または消極的であることを露呈した」と痛烈に批判した。
インド同様に女性に対する犯罪が深刻なパキスタンのメディアも同調する。5日付の英字紙ネーションの社説は、「インド政府の性犯罪を阻止しようとする決意は疑わしい」として、「レイプ犯の厳罰化に取り組んだものの、被害者に何が起こったのかを明らかにしないなど、醜い真実を隠蔽し続け、苦々しい問題に取り組もうとしない姿勢を示している」と指摘。また、レイプを正当化した被告の発言にみられるように、「映画はインド社会の一面、さらには広範な南アジア社会をさらしたものであり、激しい恥の元となっている」として、自国の状況も重ね合わせた。