女川の身近なものを題材にしたタイルは、災害公営住宅や仮設商店に採用された。しかし、1辺7~20センチ四方の手作りタイルは月100枚が限界。今年度末で緊急雇用創出事業補助金も打ち切られるため、経営は苦しく工房は正念場を迎える。だが、阿部さんは「春に復旧する女川駅と周辺の町にもちりばめたい」と意欲を失うことはない。
≪「まちびらき」宣言へ準備着々≫
震災による大津波で827人の死者・行方不明者を出し、多くの家屋が損壊するなどして市街地がまるごと失われた宮城県女川町。21日、JR石巻線の全線開通と女川駅を中心とする町の復興を宣言する「まちびらき」が行われる。“生まれ変わる町”の準備が着々と進められていた。
震災後、既に約9メートルのかさ上げ工事を終えた新しい町の核となるのが女川駅舎だ。早くから被災地に入り、避難所を段ボールの筒で仕切りプライベートな空間を創出したり、住宅地が不足した女川で3階建ての仮設住宅を提案した建築家の坂茂(ばん・しげる)氏(57)が設計を担当。白い屋根は、港町で羽ばたくウミネコをイメージしたという。総工費は8億5000万円。