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船出する「蛙昇天」、青春ふたたび「スパイダース」 長塚圭史 (3/5ページ)

2015.3.16 18:30

雲の向こうに青空が抜ける空は幸運を呼ぶ空=2015年2月20日(長塚圭史さん撮影)

雲の向こうに青空が抜ける空は幸運を呼ぶ空=2015年2月20日(長塚圭史さん撮影)【拡大】

  • 【続・灰色の記憶覚書(メモ)】演出家の長塚圭史さん(提供写真)

 できてしまったというのは、やっぱり照れくさいわけである。稽古が終わると、中山さんの運転する車で帰宅、伊達くんが風呂を沸かし、2人はそのまま台所でせっせと夕飯を準備する。時間としてはもうかなり遅いが、昼過ぎから稽古し続けているため、腹は減る。私はその間に翌日の稽古スケジュールをまとめたり(働いている出演者も多いので稽古スケジュールを組み立てるのが本当にややこしいのだ)、台本とにらみ合ったりしている。やがて食事が出来上がると乾杯して与太話、あるいは稽古や芝居について深夜まで語りながら、代わる代わる風呂に飛び込んでゆく。

 翌朝、一番に起きるのはおおむね私なので台所の食器を片付ける。それが終わると伊達くんが自室から下りてきて(二階建ての一軒家)、みそ汁など温め、何となく一緒にほぼ無言の朝飯。中山さんが起きて来る頃には私は自室で勉強、2人はその日の稽古中に食べるお弁当を3人分詰め合わせてくれる。稽古場の近所に食事処がないのと、何よりも短い休憩時間でかっこむにはお弁当が最適なのだ。それからまた車で稽古場へ行く。一度も相談せずに自然とこの連携が組まれていったのだから、やはり歳月というものは偉大なのかもしれない。

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