シンプルな創作生活
ともかく、このほとんど単調とも言えるシンプルな生活の繰り返しは、しかし創作の理想であった。忙しない東京の喧騒(けんそう)から離れ、一つの作品に没頭できる環境は珍しい。中山さんはこの共同生活を「青春」だと言った。確かに軽やかに分担作業をしながら、遅くまで語り合う生活には「青春」の匂いがする。随分とおじさんたちの「青春」ではあるが、ああでもないこうでもないと酒を飲みながら朝方まで真剣に語り合ったり、バカ話で大笑いするエネルギーが、あの頃の自分たち同様、いやむしろそれ以上にまだまだ眠っていたことに、素直に喜べた。