2004年7月14日、吉林省長春市で人民解放軍の将兵らを励ます軍総政治部主任時代の徐才厚氏(右)。この2カ月後に制服組トップの党中央軍事委員会副主席に就いた徐氏の地方視察には特に大きく紙面を割いた「解放軍報」だったが、今や手の平返しで徐氏を蔑み、習近平指導部への忠誠をアピールしている=中国(AP)【拡大】
最後には軍ナンバー2まで上り詰めた徐氏は、解放軍報にとっては「最も自慢できるOB」だった。解放軍報の事情に詳しい関係者によれば、社長室には徐氏の揮毫が掲げられていたほか、徐氏が地方視察に出かける時は特集を組んで他の軍指導者より大きく宣伝するなど、徐氏との特別な関係を暗に強調してきた。
徐氏が昨年3月に失脚すると、解放軍報はいきなり手の平を返すように徐氏批判の急先鋒となり、徐氏のことを「国妖」(国を攪乱(かくらん)する妖怪)と罵倒するようになった。解放軍報が豹変(ひょうへん)した理由について、共産党の古参幹部は「徐氏が憎いからではない。解放軍報の現在の幹部たちは、徐氏の一派と見なされて粛清されることを恐れているのだ」と指摘した。
中国には「水に落ちた犬は打て」という言葉があるが、現実の世界では、犬を痛めつけることが目的ではなく、叩いている姿を時の権力者に見せて保身を図るのが目的である場合が多いようだ。(中国総局 矢板明夫(やいた・あきお)/SANKEI EXPRESS)