使用示唆に異議申し立てを
15日、ロシア全土で放映されたテレビ番組「クリミア、祖国への道」で、プーチン大統領が「ロシアはクリミア情勢が思わしくない方向に推移した場合に備えており、核戦力に臨戦体制を取らせることも検討していた。しかし、それは起こらないだろう、とは考えていた」(15日「ロシアの声」)という世界を震撼(しんかん)させる発言を行った。プーチン大統領は慎重な性格なので、核政策をめぐる重要な問題で不規則発言はしない。
プーチンは、ロシアの国益にとって死活的に重要と考える政策については、核兵器による威嚇を含む軍事手段を用いても強行すると宣言しているのだ。日本は唯一の被爆国である。プーチンの核兵器の使用を示唆する外交政策に対しては、強く異議を申し立てるべきだ。こういう乱暴に核カードを切るような政策をロシアが取っている以上、近未来にプーチン大統領が訪日することは不適当と思う。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)