新しい季節へ=2006年2月12日、東京都西多摩郡檜原村(野村成次撮影)【拡大】
2006年の1月は寒く、どこの滝も凍っている。そんな寒波が過ぎた日、JR五日市線の武蔵五日市からバスで檜原村の藤倉というところまで行き山道を歩いた。ふと足が止まった。傍らに山の水を竹の筧(かけい)で引いてある。その下に氷の塊があり、落ちてくる水が塊を貫いているのだ。たぶん寒波のピークに、筧の周りに大きな氷ができた。それが気温が上がって溶けだし、ポタリと落ちる水滴が氷に穴をあけたのだ。その先へ行くのをやめて、飽きずに眺めていた。もっとも1週間後は、何も残っていなかった。やはり写真は、その瞬間だけが勝負なのだ。
そんな偶然の出合いに助けられたこともあったが、駄作の山を築いたというのも間違いない。さて桜も咲く、小生の奥多摩の最後の桜になるかもしれない。(野村成次/SANKEI EXPRESS)
■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。