4月2日午後、内閣府で山口俊一(しゅんいち)沖縄北方担当相との会談を終え、記者団の質問に答える沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事。昨年12月の知事就任後、翁長氏の上京は8回目で、山口氏との会談は3回目だ=2015年、東京都千代田区(酒巻俊介撮影)【拡大】
会談の開催が確定したのは1日午前。菅氏は間髪を入れず1日午後の会見で会談する意向を表明し、翁長氏のちゃぶ台返しを封じた。菅氏の情報統制は厳しく、4日の米軍西普天間住宅地区返還式典にも出席するが、主催する防衛省ですら、仮に山口俊一(しゅんいち)沖縄北方担当相(65)が急遽(きゅうきょ)出席しても対応できる準備だけを進めていたほどだ。
菅氏がこのタイミングを選んだのは、岩礁破砕許可の取り消しをめぐる翁長氏との対決が一区切りしたことが大きい。翁長氏も「次の一手は冷静に判断すべきだ」(周辺)との姿勢に傾きつつあり、「忌憚(きたん)のない意見交換」(菅氏)を行える時期をようやく迎えた。
パイプ役不在
ただ、調整を担った官僚や県職員は見当たらず、改めてパイプ役の不在も浮き彫りになった。そこで注目されるのが、4月1日付で外務省参与に就任した又吉(またよし)進・前沖縄県知事公室長(59)だ。公室長として官邸とのパイプ役を果たした又吉氏の経験と調整能力を翁長氏も評価し、早期退職した又吉氏の慰留を検討していたとされ、キーマンになる可能性がある。