「ピアノの面白さは年とともにクレッシェンドします」と語る、ピアニストの小山実稚恵(こやま・みちえ)さん=2014年8月20日(提供写真)。(C)ND_CHOW【拡大】
「こんなにあっさりと30年がたってしまうなんて、自分でも少し驚いています。30年弾き続けたからこそ、やらなければならないことが増えます」
こう話すのは日本を代表するピアニストの一人で、今年デビュー30周年を迎えた小山実稚恵(こやま・みちえ)。1985年のショパン国際ピアノコンクールで4位入賞して以来、30年がたった。4月と11月に、ショパンとラフマニノフのピアノ協奏曲を2曲ずつ演奏する記念コンサートを開く。
小山は仙台市出身。東京芸大大学院修了。82年、チャイコフスキー国際コンクール3位。ショパンとチャイコフスキーの両コンクールに入賞した唯一の日本人ピアニスト。2005年度文化庁芸術祭音楽部門大賞を受賞した。
30年のキャリアの中で、最もショックを受けたのは東日本大震災という。仙台で生まれ、盛岡で育っただけに人ごとではない。音楽の無力感も感じたが、震災以後、ライフワークとして被災地での演奏を続けている。
「現実を見て、ピアノは生きることに役立たないものだ、と本当に思いました。時がたって音楽の重要性も感じましたが、こんなにいろいろと考えたことはありません。いまは自分の思いを大切にするしかない、だから私はピアノを演奏しているんだ、と最近はつくづく思います」