任期途中での辞任を表明した全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章(ばんざい・あきら)会長。記者会見後、報道陣に囲まれた=2015年4月9日、東京都千代田区(早坂洋祐撮影)【拡大】
万歳氏は新潟県農業協同組合中央会会長を経て、2011年8月にJA全中会長に就任。昨年8月に任期3年で再選されたばかりだった。農協法改正案は今月3日に閣議決定された。JA全中は現在の特別認可法人から一般社団法人に組織変更するほか、全国の地域農協に対する一律の監査権限も失う。
JA全中は19年9月末までに新組織に移行する。現在、内部にあるJA全国監査機構を監査法人として独立させるなど、大きな変革期を迎えており、次期会長は難しいかじ取りを迫られそうだ。一方、安倍晋三首相(60)は9日、官邸で記者団に「(万歳氏には)農協改革で大変な協力をいただいた」と謝意を示した。自民党の稲田朋美政調会長(56)も党本部で記者団に「万歳氏は言うべきことをきちんと主張し、最後は(改革案を)まとめられた。大変感謝している」と述べた。
自民党内からは「(万歳氏は)筋を通した」と理解を示す声が上がっているが、自民党が万歳氏を辞任に追い込んだと有権者に映りかねず、統一地方選への影響を懸念する声も漏れた。農林族議員の一人は「『農協がいじめられ、自民党が勝った』という構図が浮き上がってしまうと、統一選にいい影響はない」と話した。