任期途中での辞任を表明した全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章(ばんざい・あきら)会長。記者会見後、報道陣に囲まれた=2015年4月9日、東京都千代田区(早坂洋祐撮影)【拡大】
7日には安倍首相と官邸で面会し、激しく対立した農協改革を、今後は協力して進めていくことを確認し、握手を交わした。TPP交渉も大詰めを迎え、万歳会長の役割はますます重要になるはずだった。
9日の記者会見で万歳会長は、政府の農協改革案を受け入れたことに対する引責辞任との見方を否定した上で「組合員から評価される方向で頑張ってほしい」と、次期会長への期待を語った。だがグループ内からは「無責任だと言われても仕方がない」との批判も聞こえてくる。
統一地方選の最中の辞意表明は、永田町や官邸に波紋を広げた。閣僚の一人は、抗議の辞任との見方を示した上で「JAに残ったところで政府と約束した改革の推進と、反対する下からの突き上げの板挟みになるだけだ」と解説した。
専務理事も退任
JA全中は一般社団法人に移行した後に担う役割や、内部にある監査部門を切り出してつくる監査法人の在り方の検討に着手した。今後、金融庁などとの調整もあり、引き続き難しい局面が予想される。