戦後70年にあたって天皇、皇后両陛下は9日、約1万人の日本軍守備隊が戦死した激戦地、パラオ共和国ペリリュー島をご訪問になり、日本政府が建立した「西太平洋戦没者の碑」に供花し、拝礼された。米軍の慰霊碑にも黙祷(もくとう)し、全ての戦没者を追悼された。両陛下が海外での「慰霊の旅」を果たされたのは、戦後60年だった2005(平成17)年の米自治領サイパンに次いで2度目。疎開などでご自身も戦争を体験した80代の両陛下にとって、平和への祈りの集大成ともいえるこの旅で、「不変」の強い覚悟を自らの姿で示された。
「ご苦労さまでした」
両陛下は、前夜にコロール島沖で宿泊先とした海上保安庁巡視船からヘリコプターでペリリュー島に入られた。ペリリュー島最南端に建てられた「西太平洋戦没者の碑」で、両陛下は日本から運ばれた白菊の花束を手向け、深く礼をされた。続いて、日本軍約1200人がほぼ全滅したアンガウル島の島影にも静かに頭を下げられた。
宮内庁によると、アンガウル島拝礼は、ご訪問直前に急遽(きゅうきょ)組み込まれたという。一人でも戦没者を忘れないという、強いお気持ちが垣間見える。