陛下は皇太子時代から「日本には忘れてはならない4つの日がある」として広島、長崎の原爆の日(8月6、9日)、沖縄戦(6月23日)、終戦の日(8月15日)を挙げ、戦後50年を迎えた即位後の1995(平成7)年、広島、長崎、沖縄、東京・下町の戦地を巡る初めての「慰霊の旅」を行われた。
次いで、そのお心は「祖国を守るべく戦地に赴き、帰らぬ身となった人々のこと」(8日のパラオ訪問ご出発前のお言葉)に向けられる。そこで戦後60年に果たされたのが、米自治領サイパン島での初めての海外ご慰霊だった。
だが、側近の一人が「陛下のお気持ちは不変」と語る通り、そのほかの島々での戦没者への思いも持ち続けられた。
宮内庁幹部は「サイパンの後にパラオを、パラオが終わっても、次のことをお考えになっている。両陛下の戦没者慰霊のお気持ちに“ゴール”はない」という。「1つの集大成」(側近)だったといえるパラオご訪問だが、今回を一区切りとしながらも、両陛下は今後も絶えず、慰霊の形を模索されているのではないか。
両陛下は9日夜、パラオ国際空港から民間チャーター機で帰国された。(SANKEI EXPRESS)