コンピューターソフト「AWAKE(アウェイク)」に21手で勝利した阿久津主税(ちから)八段。弱点を見抜き、執念の「はめ手」で最強ソフトを下した=2015年4月11日、東京都渋谷区千駄ケ谷の将棋会館(共同)【拡大】
まず人選では、棋士同士の対局での実績や段位に関係なく、今回は日ごろからコンピューターを棋道研鑽(けんさん)に積極的に活用している棋士5人を選抜。昨年12月から各々に対戦するソフトを貸し出した。これまでも事前にソフトは貸し出されていたが、対局が近づいてからで、多くの棋士はぶっつけ本番で電王戦に臨んでいた。今回は、阿久津八段を含めて5人の棋士全員が、数百局もの練習対局を重ねて本番を迎えていた。
バグ狙い鬼手連発
1秒間に数百万~1000万手以上を読むコンピューター相手では、互角に終盤の寄せ合いに突入したらまず勝ち目はない。中盤も、棋士側が手筋や定跡通りに指していてもコンピューターは正確無比でミスはしない。過去2回の経験からプロ側は「序盤で過激に鬼手を連発し、中盤を飛ばして一気に終盤に持ち込む」作戦が有効と結論づけた。