≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫
日本酒を製造する酒蔵が減少の一途をたどっています。戦前には5000以上もあった蔵が今や1500を切っているそうです。酒類の種類が増えたことに加え、日本酒自体の消費量も減少。これではいけない! 和食の世界文化遺産登録をきっかけに、世界を目指す酒蔵が日本酒のイメージアップを図るなど、次世代の日本酒ファン育成を目指す取り組みも始められています。
今回は、新潟最古の歴史を誇る蔵元吉乃川の、女性による女性のための日本酒応援部活「吉乃川女子部」を訪ねました。
日本酒の生産量、蔵元数ともに国内ベスト3に入る新潟。長岡市南部に位置する摂田屋地区は、江戸時代から酒・みそ・しょうゆなどの醸造業が集積した醸造の町。長岡市の市街地は太平洋戦争でほとんど焼失したのですが、摂田屋地区は危うく難を逃れ、明治・大正時代の建物が残り、独自の文化・景観を保っています。その一つが天文17年(1548年)から続く蔵元「吉乃川」です。町の中心を流れる信濃川の恵みを受け、地元新潟の酒米「五百万石」「越淡麗」と、蔵の井戸からくみ上げる軟水「天下甘露泉」を仕込み水に使用。杜氏(とうじ)と蔵人の伝統と技によって紡がれてきた日本酒は、数々の品評会で賞を受賞し評価されています。