では、2014年に施行された《特定秘密保護法》で機密が守られるかというと、これが恐ろしく心許ない。防衛相が《特定秘密》に指定しても、自衛隊の行動の多くは閣議決定の必要がある。閣議は非公開で、外部への公表・非公表を決めた後、官房長官が統一的に発表。各閣僚も議論の内容を漏らす行為は慎むよう通達されている。国会法でも、本会議や委員会を《秘密会》にできる規定は有る。
ところが、閣議・閣僚懇談会や本会議・委員会における機密保持に備えた具体的運営要領は定まってはいない。しかも、特定秘密を扱う公務員は犯罪歴や薬物の影響、精神疾患はじめ経済状況まで《適正評価》をクリアせねばならぬが、閣僚や国会議員への厳格な適正評価実施も想定されていない。公務員向けの適正評価項目には《テロ活動との関係》も含まれるが、新左翼系過激派とのつながりを危険視される国会議員は野放し。
これでは、安保法制が整備され、海外紛争・暴動に際し《邦人救出》を行えるようになっても《A時B分、C空港で△人を救出する計画》に関する記事を、救出前に閣僚・議員経由でメディアや機関紙が公表。ゲリラやテロリストが阻止すべく待ち構える危機を誘発する。