「葵祭」のヒロインとなる斎王代が身を清める「御禊の儀」で、水を神主から手にかけてもらう斎王代の白井優佐さん(中央)。5月15日に行われる葵祭をはじめ、多くの伝統行事を受け継いできた京都府と京都市は、文化庁や観光庁の誘致を働きかけている=2015年5月4日午前、京都市左京区・下鴨神社(共同)【拡大】
安倍政権が打ち出した政府機関の地方移転をめぐり、受け入れ先となる自治体の動きが足踏みしている。京都府と市は文化庁と観光庁の誘致に意欲を示すが、大半の自治体は「誘致できる施設があるのか検討中」(富山県)と様子見の構えだ。政府が東京一極集中の是正策の柱として期待する地方移転の実現は見通せない。
メリット立証必要
政府は3月3日に埼玉、千葉、東京、神奈川の4都県を除く道府県から移転受け入れの募集を始めた。対象は東京・霞が関の中央省庁のほか、全国に250ある国や独立行政法人の研究機関や研修施設で、8月末までに募集を受け付け、聞き取りや省庁間の協議を経て、来年3月までに移転を決定する。
京都市は全国に先駆けた動きを見せる。3月下旬にまとめた人口減少対策の5カ年計画「地方版総合戦略」中間案に文化庁と観光庁の誘致を明記、応募権限を持つ京都府と移転の候補地などを調整している。
府と市はこれまでも両庁の移転を国に働きかけてきた。門川大作市長(64)は「1200年を超える文化があり、多くの外国人観光客が訪れる京都から日本を世界へ発信してもらいたい」と期待感を示す。